アラフィフからのスイス暮らし

『NEVER TOO LATE』をいつも心の真ん中に置いて日々暮らしています。

ドラッグ中毒者のスイスでのサポートの仕方

昨日はLukasとのタンデムでした。

話したテーマは、ドラッグ中毒者に対するスイスでのサポートの仕方でした。。

 

日本では、クラブ等も行ったことがありませんでしたし、もちろん身の回りにドラッグをやっている人はいませんでした。

ですので、私にとってドラックはどこか全く関係のない、知らない世界のことでした。

 

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しかし、スイスでは街でドラック中毒のジャンキーをしばしば目の当たりにします。

ジャンキーは一様にうつろな目をして焦点が定まっておらず、やせ細っていて身なりも崩れています。

そして、訳の分からないことを大きな声でつぶやいていたり、誰彼と構わずに話しかけていたりします。

そんな彼らを見ると、なんだか見てはいけないものを見てしまったような気がすると共に、本当にドラッグの恐ろしさを感じます。

 

私が住んでいる街の中心部から少し離れた一角にジャンキーが集まる場所があります。

ジャンキーばかりが集まっているので、一種異様な雰囲気が漂っています。

いつもそこを通りかかる度に、なぜそこでジャンキーが集まるのか不思議に思っていたので、Lukasにそのことを尋ねてみました。

なんと驚くことに、そこはジャンキーが欲しい種類のドラッグを1日に2回無料で供給する場所だったのです。

 そこで供給されるドラッグは、Lukas曰く『きれいなドラッグ』だというのです。

私が、思わずきれいなドラッグとは何かと訊き返しました。

すると、混じり物が入っていない、純粋な成分だけで作られたドラッグのことをそう呼ぶらしいです。

なぜ純粋な成分である『きれいなドラッグ』を配布しているかというと、不純物が混ざったドラッグは体に悪影響を及ぼすからだというのです。

私からしたら、ドラックをやっているだけで体に悪いことばかりだと思うのですが、興味深い考え方だと思いました。

この『きれいなドラッグ』は、州の予算で提供しているということです。

 

ドラッグ中毒者にドラッグを止めさせることは非常に難しいらしいのです。

沢尻エリカもかれこれ10年以上もドラックをやっていたと報道されていましたね。

ドラッグを止めさせるためには、精神面の療法が必要であり、それには長く時間がかかるそうです。

すると、この療法にかかる費用で保険会社がかなりの負担になってしまい、それによって州の財政を逼迫させてしまうので、ドラッグ中毒者にはドラッグを完全に止めさせるのではなく、ドラッグと共存させる方法を選んだということなのです。

 ドラッグの中には、混ざりものが多く混入されていて粗悪なものがあるので、敢えて『きれいなドラッグ』を供給することで、身体への負担を減らしているのだそうです。

また、ドラッグ中毒者には、『きれいなドラッグ』だけでなく、住む場所、保険、働ける人は働く場所、さらに1日30フラン(日本円で約3300円)を州が提供しているということです。

なぜ30フランなのかは、ドラッグを買いたくても買えない低い金額に抑えているというのです。

この至れり尽くせりの手厚すぎるサポートを聞いて、驚いてしまいました。

ただ、このようなサポートがあるため、犯罪も抑えられているようです。

これではなかなかドラッグ中毒からは簡単には抜け出せませんよね。

一通りLukasがドラッグ中毒者へのサポートについて説明した後、ポツリと言ったことが印象的でした。

それは、「ジャンキーは、ドラッグのせいで長生きができないんだよ、80歳過ぎのジャンキーって見たことない」でした。

 

そして、Lukasは私に、ジャンキーをサポートしたり立ち直らせるためにはどうすればいいと思う?と訊きました。

私は、近くにいる人の愛だと答えました。

人に愛されていると感じることができれば、もっと自分のことを大切にすることができるのではないかと思ったからです。

でもそんな簡単なことではないので、本当に難しい問題です。